治療方法

スギ花粉症が日本における「国民病」であることから、日本では数多くの治療が試みられている。本疾患の特徴として、スギ花粉症はアレルギー症状であるため現時点では根治療法が存在しないことが挙げられよう。したがって現在、一般には対症療法が行われている。
処方薬物としては抗ヒスタミン薬や第二世代抗ヒスタミン薬などの抗アレルギー薬やステロイド、Th2活性阻害薬・漢方薬などが用いられており、また飲み薬の他に点鼻薬や点眼薬などの外用薬も用いられている。特徴として、スギ花粉の飛散期が2ヶ月以上(ヒノキ花粉症も含めると3ヶ月以上)と長いため、長期にわたる投与で重篤な副作用の顕在しやすい薬品を用いた処方は重症の場合を除きあまり奨められていない点が挙げられ、例えばセレスタミンは長期作用型で副腎への抑制効果が強いために1日1錠ペースの投与でも2週間が限度とされており、重症時以外のスギ花粉症患者に長期間投与するのには向いていない。但し医師の中にはこうした長期投与が奨められない薬を漫然と長期間処方している場合があり、医療機関に受診する場合は注意が必要である。
対症療法のほかにはアレルゲン免疫療法などの減感作療法があり、こちらは主に皮下投与による減感作療法と経口投与による舌下減感作療法が行われている。減感作療法は治療終了後も効果の持続が期待できるため根治療法に近い方法ではあるものの、一方で即効型の治療法ではないために数年のスパンで治療を考慮する必要がある。
この他にレーザーで鼻の粘膜を焼く方法や涙管に薬品を注入する方法など、物理的に症状を抑える治療法もある。また治療法ではないがゴーグルやマスク等で花粉との接触を防ぐ方法や空気清浄機で空気中の花粉を除去する方法で、そもそもアレルゲンとの接触の機会を最小限に抑える手段も日本では広く行われている。
なお「花粉症に効く」と称した民間療法や食餌療法も多く存在するが、これらに関しては治癒実績や科学的根拠の乏しい治療法も多い。

スギ花粉症の行政対策
日本では花粉症に対する農林水産省等の対応が遅れてきた。1990年度に「スギ花粉症に関する関係省庁担当者連絡会議」が設置され、1994年度より当時の科学技術庁によって数年間に渡る「スギ花粉症克服に向けた総合研究」が実施された。2004年度からは会議の名称が「花粉症に関する関係省庁担当者連絡会議」と改められ、2005年度からはようやく基礎研究などよりさらに踏み込んだ具体的な取り組みがなされるようになった。
こうした行政の動きに関しては、1995年に自民党内設立された「花粉症等アレルギー症対策議員連盟(通称ハクション議連)」をはじめとする各種花粉症対策議連が、本格的な対策の推進を各所に働きかけるようになったことが大きく影響している。これにより花粉症を含めたアレルギー対策に関する予算が急激に増加し、2002年度のアレルギー関連予算は7年前の27倍に達する73億7200万円にもなっている。
行政が行う花粉症対策とは基礎研究や治療法の開発、花粉飛散の予報技術の向上などが主であり、スギ・ヒノキ花粉発生源(主にスギ・ヒノキの人工林)への根本的な対策は進んでいない。一方で質が良くて安い輸入木材の普及による林業の荒廃・林業従事者の減少の問題などから、植え替えや伐採も難しくなっている。
一策として、日本では無花粉スギや少花粉スギなどのスギ花粉が飛びにくい品種への転向も検討されている。実際に林野庁は2005年に、今後5年間に60万本の無花粉スギを植えると発表しているが、日本全体のスギ林は合計で約453万ヘクタールもあるため、これらのスギ林をすべて移行するのは非常に難しい問題となっている。
変わった例としては、東京都において2006年度より花粉の発生源である森林への対策を取りまとめ、多摩地域のスギ林の伐採および花粉の少ない品種のスギや広葉樹への植え替えなどを50年計画で行い、今後10年間で花粉の量を2割削減する事業を始めることになったが、その理由のひとつに都知事をつとめていた石原慎太郎自身が2005年に花粉症になった点があった。この点について石原は2006年3月10日の知事会見で「それは私、今まで花粉症じゃなかったけど、去年あるときなってから、急きょ、問題意識が。人間てそんなもんだよ、それは」と認めている。