原因と症状
日本で1960年頃からスギ花粉症が急増した原因としては、農林水産省が推奨してきた大規模スギ植林が主に挙げられている。
戦後復興や都市開発などで日本では第二次世界大戦以後木材の需要が急速に高まったが、一方で国内木材の供給量は不足気味で、林業の拡大と造林は 当時の日本において急務であった。このため農林水産省は戦後に拡大造林政策を行い、その一環として各地にスギやヒノキなどの成長率が高く建材としての価値が高い樹木の植林や代替植樹を大規模に行ったが、その一方でスギ花粉の飛散量も爆発的に増加することになり、大量のスギ花粉を曝露した日本人がスギの花粉症を発症することにもつながった。また高度経済成長を経て日本では林業が衰退し、木材も外国からの質が良くて安い輸入品に押されて国内スギの需要が低迷するようになったため、大量に植えたスギの伐採や間伐なども停滞傾向となり、花粉症原因物質であるスギの個体数が増加していることも花粉症患者の増加傾向の要因となっている。
一方で近現代の日本の都市化により土地が土や草原からアスファルトやコンクリートなどの花粉が吸着・分解されにくい地盤となり、一度地面に落ちた花粉が風に乗り何度も舞い上がって再飛散するという状態が発生するようになった。加えて排気ガスや工場からの排気などの光化学スモッグなどを長期間吸引し続けることでアレルギー反応が増幅され、スギ花粉症を発症・悪化させるという指摘があり、これら日本の都市化によって花粉症の発生の一般化が起こっている。
これらの事象により、今日では離島などを除く日本各地でスギ花粉症が発生するようになっている。
発症傾向
傾向的にアレルゲンであるスギ花粉の飛散量が多ければ多いほど、スギ花粉症の発生患者は増加傾向となる。また過敏症が高い状態では少しのアレルゲンでもアレルギー症状を発症するため、大量飛散の翌年は、たとえ飛散量が少なくとも症状が軽くなるとは限らない。
症状としては花粉症の4大症状であるくしゃみ・鼻水・鼻詰まりおよび目のかゆみに加え、咳などの喉の疾患や肌のかゆみなどが発生する。重症化すると喘息や気管支炎などの気管支疾患や頭痛・発熱が発生する。一方でスギ花粉のアレルゲン性は低いほうであるため、他の花粉に比べてアナフィラキシーショックや口腔アレルギー症候群の症例は非常に少ないものの、重症患者が極端に多量のアレルゲンを体内に取り込んでしまった場合は極稀にショック症状を示す場合もある。またスギ花粉症が一般化・大衆化していることから、重症患者の中には中にはスギ花粉を見ただけでマイナスプラセボ効果(ノセボ効果)によって花粉症の症状が発生する者もいる。
このほか、スギ花粉症患者の7割前後はヒノキの花粉症を併発しているとされており、ヒノキの花粉の飛散は5月まで続くことから、併発患者は3ヶ月から4ヶ月もの長期間にわたって花粉症の症状に苦しむ場合がある。